やまひこ農園のトマト栽培
野菜の中で一番有名な野菜はトマトであります。日本全国で生産され様々な栽培技術が開発されてきました。やまひこ農園で力を入れている栽培技術は、トマトの露地栽培、高温条件下の高品質トマト栽培、そして栽培管理の省力化の3つです。
この3つの目的を達成するために、やまひこ農園では研究を続けております。
やまひこ農園で行っているトマトの畑作りです。
トマトの露地栽培で参考になる昔のトマト品種の紹介です。
トマトの栽培方法、粗放栽培か、集約栽培か、品種による栽培法の違いを紹介します。
トマトの品種改良

トマトの品種改良は、明治時代に導入されてから昭和初期より盛んにおこなわれるようになりました。初期の有名品種は「世界一トマト」です。そしてこの世界一トマトを親として様々なF1品種が作出されました。
次に有名になる品種は「ファースト系トマト」と呼ばれるものです。ファースト系トマトはビニールハウスが普及した高度成長期の日本の主力品種となりました。年配の方が「青臭く、濃いトマトの味がするトマト」といわれるものは「ファースト系トマト」のことであります。
そして、私たちの時代にあらわれた有名品種が「桃太郎」です。タキイ種苗作出の桃太郎は日本人好みのピンク色の果皮色で甘く食べやすい味で市場を席巻しました。私たちの世代では大体トマトといえば「桃太郎」といってよいくらい普及しました。
この長期にわたるトマトの品種改良の歴史を見ていきますと、ハウス栽培で長期抑制栽培に適したもの、市場性のある無難な食味と果皮色、などがあげられます。最近のトマト品種が、露地栽培で裂果しやすく、高温期に樹勢が落ちて収量が少ない、水っぽい味で甘みも酸味もない、などといわれることがありますが、無理もありません。各メーカーの品種選抜地と同じような環境で同じ管理をすればメーカーの宣伝と同じような品質が望めるのかもしれませんが、環境の複雑な日本では難しいところです。
そこでやまひこ農園では、静岡市駿河区小坂の地に適した品種の作出を目指しました。強健・多収で栽培管理がしやすく、高温期にも耐え、食味が良好そして、露地栽培にも適するトマト品種が目標であります。
現在ミニトマト品種で「ピュアスイートⓇミニトマト」「ピュアエンジェルⓇミニトマト」の2品種を主力に栽培しています。改良点はまだありますが今後も研究を進め、毎年進歩するトマト生産を目指しております。
トマト栽培 土壌管理
トマトは乾燥地が原産なので、一般的には土壌を乾燥させた方がよいと考えられております。この点間違いではないのですが正しくありません。低温期に栽培されるトマトの長期抑制栽培ではそれほどではないでしょうが、高温期に栽培されるトマトの夏秋栽培では上昇した樹体の温度を下げるために、葉より蒸散する水分の量は無視できません。比較的低温を好むトマトの樹体に蓄積された温度を蒸散で下げられなければ生理障害が発生することになります。

耕作
そこでやまひこ農園ではトマトが必要とする水分に関しても、トマトの根作りを中心に考えています。ハウス内でもトマトが利用できる土層を増やすように高畝栽培を行い、白黒マルチを張り土壌表面よりの水分の蒸散、水を奪う雑草の防止、地温の低下を狙います。事前に圃場はよく耕運し根の伸長に有害な要素がないか目視で確かめます。
元肥は控えめにし、幼苗生育時に肥料濃度障害で根を痛める事態を回避します。肥料は液肥の形で追肥として回数を多く施用し、土壌に対する負荷を軽減していきます。
連作障害などは、他の種類の野菜との作り回しを行うことによって回避しています。現在は夏秋栽培のみを想定しておりますが、トマト栽培主流の長期抑制栽培を行う場合には、1年ごと圃場を変えて栽培していくことを想定し計画しています。
トマト栽培 仕立て方
トマトの栽培管理といえば主に枝の仕立て方を指すといえます。様々な方法が考案され用いられてきましたが、これもそれぞれの栽培法に適したものを選択し実行されているようです。よく行われている方法は主枝1本仕立てです。

トマト2本仕立て
やまひこ農園では、1本仕立てではなく5本から6本の多枝仕立てで管理を行います。これは現行の1本仕立てよりも誘引が面倒に見えますが、株間をあけることで空間を確保すれば問題なく誘引することができます。
主枝より出てきた脇芽は除去しないで伸ばして空いているスペースに誘引していきます。またその枝から発芽してきた脇芽はそのままその枝に結びつけます。

トマトの多枝仕立て
このようにしていくと一見ジャングルのようになってきますが、脇芽の発生が少なくなり、手の届きやすい低段に実をつける枝が多くできます。そして何よりもトマトの根張りが非常によくなります。枝葉で合成された糖が根に転流され根で吸収された水と養分が枝葉に送られるというサイクルは、枝葉の充実と共に拡大していき根張りが良好になったと考えています。
現行の1本仕立ての誘引法よりも手間がかからず、トマトの生育も良好となる合理的な整枝法であります。
やまひこ農園のトマト栽培について代表的な3つの方法について紹介してきました。細かい手法は新しいページで紹介していきます。
トマト栽培記録 平成27年(2015)
今年は、連年栽培を行っているトマトのハウス栽培に露地園地2か所を加えました。