スイカ栽培

やまひこ農園のスイカ栽培

 真夏の果物といえばスイカです。現在でも夏にはメロンよりスイカが多く食べられております。種苗会社各社も毎年新品種を発表しているようでスイカ育種熱もいまだ健在のようです。やまひこ農園では、昔好評を博したスイカ品種を中心として試験的に栽培を行っております。

 スイカの施肥法について資料をまとめましたリンクはこちらです。

 

現在栽培している在来スイカ品種

三笠

 三笠

 「三笠」
 この品種は通常出回っていないので私はジーンバンクより入手しました。現在ナント種苗より販売されている「新三笠」の片親になります。
 昭和27年奈良農試により命名され広く販売されるようになりました。この三笠の興味深い点はその作出までの変わった物語です。

 園芸大辞典より三笠スイカ作出までの話を紹介します。
「昭和11年(1936)に千葉農試から取り寄せて自殖を続けてきた「都1号」を同19年(1944)以降貯蔵しておき、同23年(1948)に栽培したところ、その中から突然変異によって生じた、とされている。これを同26年(1951)に主産地の一部にも試作して、結果がよかったので同27年(1952)に命名した。」

 三笠スイカについて特筆すべきは突然変異によって作出されたスイカ品種であるのです。突然変異でできたスイカ品種といわれているものは私が知る限りこの三笠だけです。古い育種の本には、突然変異を誘発するために古種子を利用することや、三笠は突然変異を起こしやすい特性を持つことなどが記載されております。 

 三笠の特徴は、外見は「旭大和」と同じで縞がありません。大きさも同じくらいです。味は糖度が12度くらいですが、同じ糖度でも現行のスイカ品種のほうが甘く感じられます。穏やかな甘さといえます。食感は良好ですが、皮が薄く非常に割れやすい欠点があります。 

 早生種なので開花より1か月以内に収穫できます。旭大和に比べてす入りが遅く安心して収穫できるスイカであります。

大和クリーム2号

 大和クリーム2号

 「大和クリーム2号」
 奈良農試により作出された現在にも通用する味を持つスイカ品種です。昭和3年に「黄金」と「甘露」とを交配し、選抜を行い、昭和11年F8において完成しました。 

 外見は鮮やかな縞模様がきれいです。切ると薄い黄色の果肉で、口に入れるとまるで氷を食べたように固い果肉がふわっと崩れます。今まで食べたことのないスイカです。甘さは上品な甘さです。食べていて後を引く不思議な食感食味を持つスイカです。 

 しかしこの大和クリーム2号にも大きな欠点があります。皮が薄く割れやすいこと、切ると果肉に含まれた水分が噴出してきます、切ったあと時間がたつと酸化が始まり果肉が変色してきます。決してスーパーで販売されることがないスイカであります。

 「三笠」、「大和クリーム2号」共に割れやすい品種なので通信販売はできませんが、やまひこ農園売店までスイカを取りに来ることが可能なお客様につきましては、事前予約が必要でありますがスイカを販売いたします。 

 試験的要素が多いやまひこ農園のスイカ栽培ですが今後詳細について紹介していきます

スイカ栽培 土壌管理

 スイカは「砂漠の水筒」と呼ばれるように乾燥地帯でも栽培されています。もちろん水がなければスイカも生育しませんが、同じウリ科のまくわうりやきゅうりと異なりそれほど水は必要としません。乾燥した土壌を好みます。

 この乾燥した土壌というのは、降雨があっても畝に水たまりができない土壌という意味です。スイカの根には水だけではなく酸素も多く必要とされます。もし畝の表面に水たまりができるくらいの降雨があった場合15分ほどで根が完全にダメになってしまいます。これは根に酸素が補給されなかったからです。

 水田でもないのに、畑に水がたまることが起こるのかといえば、よくあります。日本には梅雨があります。一晩雨が降り続けば排水の良い畑でなければ水たまりができます。

 どのくらいの降雨で水たまりができるのでしょうか。簡単ですが調査してみました。私のハウスではサイド潅水で潅水を行っておりますが、潅水能力は1時間に約12㎜ほどです。土質は粘土質土壌で、畝立てしてあります。この畑の状態で潅水を行いますと、約1時間ほど(潅水量約12㎜)で畝の表面に水たまりができ始めます。2時間が経過するとできた水たまりがかなり広がっていました。

 この実験では時間降雨量12㎜で1時間経過すれば水たまりができ始めるということがわかりました。そのまま降雨が継続していけば、時間につられて水たまりも広がっていくわけです。梅雨時には数時間の強い雨はよくあることであります。スイカは常に土壌水分過剰による根腐れの危険が付きまとっているといえます。

水はけのよい畑

 対策としては、畝を高く作る(高畝)、水はけのよい土を作る、畝にはマルチを張る。ということが最重要のポイントです。

 土壌管理に肥料の話が出てきませんが、スイカ作りの失敗する原因の大部分が土壌水分の過剰であるからです。この対策が取られていないとそんな肥料を用いても効果はありません。

 スイカ栽培 蔓の管理

スイカの蔓管理

 スイカだけでなくウリ科野菜すべてが蔓がデリケートにできています。蔓が人間の手に触れられたりや風にあおられたりすると威勢をなくします。その後蔓の生長が悪くなります。根と蔓の生長は連動しているので、蔓の生長が悪くなると根の生長も悪くなります。強風や台風の後や雑草をとるために蔓を動かした後によく障害が起きます。 

 もちろんスイカ自身も抵抗します。蔓よりひげ蔓をだして周囲の雑草や石に絡まり蔓を固定します。ひげ蔓はしっかりしたものでかなりの強風まで耐えられます。そこでやまひこ農園では、防風ネットを展張して蔓を誘引しネットにひげ蔓を絡ませるようにしています。

 一般的にはスイカの整枝法として、親蔓(主枝)を摘心して子蔓2本だし又は4本だし整枝が行われています。教科書にも同じように記載されております。しかし、スイカ育種・栽培の権威「神田武」さんは親蔓の摘心はスイカの成長に悪影響があると論じております。摘心を行うとその後、蔓の伸長が悪くなり実成が悪くなったり、スイカ果実が変形したり肥大が悪くなったりすることがあります。

 親蔓の摘心がよい場合は接ぎ木して作られたスイカ苗の場合だけです。

スイカの自根苗

 この理由は先に出たお話と同じく、蔓と根は連動し生長しているからです。自根苗の場合スイカの主根が根の伸長の主力です。主根が伸びてそこから多くの根が分岐し伸長していきます。主根が地下深くまで伸長していくことによって水分と養分を地中の広い範囲より集めてこれるわけです。摘心はこの機能を奪うわけであります。

 よく接ぎ木苗が市販されておりますが栽培上のメリットはあまりありません。種子からスイカを栽培される方は直播か自根苗をお勧めします。

 

 これまでやまひこ農園で得た知見に基づいてスイカ栽培を簡略に紹介してまいりました。詳細についてはまた個別に記事にしてまいります。

 

 スイカ栽培記録 平成27年(2015)