昔のトマト品種

 トマトの品種については、種苗会社の説明文ではわかりにくいものです。大体トマトの苗を販売するにも時期が早すぎるのです。ハウス栽培を行っているトマト専業の農家は自分で苗を作るか納入時期を指定して苗を委託しています。つまり種苗会社が春に販売するトマト苗は、一般人の家庭菜園又は露地栽培を行う農家向きの販売であります。

 4月の20日過ぎから各社そろったように販売を開始していますが、これは非常に早い時期です。静岡においても露地栽培を行うならば早くて5月ゴールデンウイークです。できればゴールデンウイークに畑を作って翌週定植する方法が安全です。この点から見ると静岡においても3週間早く販売しております。静岡よりも寒い地域では1か月以上早いことになります。種苗会社の苗販売競争も植物を見ずに営利を重視しているが故におこることでしょう。

 過去の品種は現在の品種と比べて劣った品種というイメージがあるのかもしれませんが、育種学の権威であり水稲「陸羽132号」生みの親であります寺尾博博士の言葉が参考になります、

 「品種には優劣なく、適否あるのみ」

 その地域で最高品種と呼ばれた作物でもその他の環境で栽培すると劣悪な結果しか残せないことがあります。逆に三流品種と烙印を押された品種でも他の地域で栽培してみると好成績を上げることもあります、こう見ると品種には優劣はなくその土地に品種特性が合うかどうか適否のみがあるという、寺尾博士のご経験より発せられた言葉であります。

 農家にとっては、トマトはなじみの深い野菜だけに簡単にできるという頭がありますが、これは間違いではありません。実際に昔からトマトの夏秋栽培は農家において普通におこなわれてきました。栽培環境はそれほど変化がないのになぜか近年トマトがうまくできないことがあります。私も近所の方よりよく話は聞きます。詳しく話を聞いてトマトを観察してみると、トマト栽培を失敗する最大の原因は、「品種」であることがわかります。

 寺尾博士の言葉が身に沁みます。ハウス栽培用の品種を露地栽培しているので裂果の多発、梅雨による樹勢低下を招いているのです。結果としてろくに収穫できず収穫終了です。これを毎年繰り返しているわけです。

 私がお勧めするのは昔の品種です。過去様々に栽培され多くの知見が得られた品種であれば栽培するにも多くの情報を事前に入手でき実際栽培に生かせます。私が栽培したことがある品種と共に昔の資料を参考にして紹介していきます。

「トマトの品種」昭和27年発行

〝総説“

 トマトは果菜中では最も粗放栽培もでき、又相当程度の高い集約栽培もできる野菜である。病害は次第に多くなっているが、比較的新しい作物であるだけに、まだ栽培年数の若い地方では、それほどひどくないところもある。このようなところで、小苗育成、少肥、少薬剤で、ある程度の収量を得ればよいという場合は、強健で粗放栽培に耐える品種が選ばれる。これらの場合に集約栽培用品種を取り入れても、全く成績が上がらない。よく市場出荷の品物や、視察地の見事な成績ぶりにほれたりして、自分の経営の集約度を考えに入れず、その品種を取り入れてみて、結果が悪く、果の肥大も思わしくなく、更に病害が多発したりして思わぬ失敗を招いているのを見受ける。

 反対に集約栽培には集約栽培に向く品種がある。粗放でもうまくいっているからといって、例えばボンデローザ、ラトガース、早生世界一などを集約栽培にもっていっても何等効果は上がらず、むしろ却って成績不良に終わることが多い。

 栽培時期の関係もあり、元来早熟性に乏しい品種を無理に早熟栽培にもっていっても、苗が過大になったり、結果が遅れたり、或は結果してもなかなか色が出なかったりする。

 普通栽培で多収穫を期する場合も同様で、早熟用品種を用い、ただ収穫期を延長したり、遅く栽培を開始したりするだけではうまくいかない。すなわちこれらのものは比較的弱く、収穫期が長びくと上段の結果が思わしくなかったり、日焼けや、内部のすく、角ばった果を生じたりする。或は又梅雨期以降になると疫病、尻腐病、青枯れ病、などを多発して、ほとんど有利な収穫を望めないことが多い。

〝土質、気候と品種の関係“

 気候とトマト品種の適応性との間にも相当の関係があるようである。九州地方の糸島や、信州で成績の良いガルフステート・マーケット或は北陸で評判の良いペアソン・インプルーブドなど、露地栽培ではたいしたものではないが、温室栽培ではなかなかよいようである。はっきりしたことは不明であるが、おそらく多くの品種には、それぞれ適した気候帯があるので、他地方で成績がよいからといって直ちに取り入れることは危険で、一応試作を要することである。

 土質と品種の関係も明らかで、一般に生育の旺盛なものは台地、乾燥地に適する品種で、これらを湿地に持っていっても、茎葉ばかり繁茂しすぎてうまくいかない。ボンテローザや世界一系統、松島ピンク、成功などは明らかに高台地向きである。

 これに反しかなり土質が重い、やや多湿の地帯の方がよいものとして福寿系、デリシャス系などがあげられる。多湿地は青枯れ病の関係もあるが、これを別とすると、これらの品種は土質の重いところでないと十分果が肥大できないように思われる。

 要するにその栽培地の気候、土質、栽培様式と栽培時期、経営の集約度、出荷市場の状態、更に出荷時期の問題、屑品の処理方法などを考慮し、各品種の特性よりみて最適品種を選ぶべきである。


 現在でもトマトの露地栽培で問題になる病害や障害が記載されております。この資料が書かれたのは昭和20年代ですが、現在とそれほど違いはないようです。

 現在でも入手可能な品種がかなり記載されていましたので紹介します。他に参考とした資料は「農学大辞典」「園芸大辞典」です。

アーリーピンク

 昭和12年、スペシャル・アーリーの変種として千葉農試より発表されたもので、極早生種のひとつである。
 果実は美しく、品質も良いが、やや小型であるため、集約な、強度の早熟栽培か、半促成栽培の場合以外は余り適当でない。病害にはあまり弱くない。
果実は40匁(150g)程度の中~小型、腰が高い。やや酸味が強いが、味は濃厚である。
 草勢弱く、節間長く、葉も細長である。多肥栽培をしないと、更に果が小さく、商品価値を低下する。
粗放栽培、多収栽培には不向きである。

市原早生(いちはらわせ)

 アーリーピンクの改良種と言われ、果実はアーリーピンクよりやや大きい。疫病にも比較的強く、砂土地帯で3~4段で摘心、強度の早熟栽培に用いられている。多肥を要する。

豊玉(ほうぎょく)

 グーパース・スペシャル×アーリーピンクの交雑種で、昭和15年千葉農試において渡辺誠三技師等の手によって育成、発表された。本邦での数少ない交雑育種による優良品種である。
 中生中の早生に属し、果形は大きく極めて美しく、品質も極良で、生果用としてはおそらく最も優良なものの一つである。しかし疫病、青枯れ病に対しては最も弱い。
 したがって特に集約的な地方において、大苗を育成して早熟栽培を行い、三段花房あたりで摘心し、早期に収穫を打ち切り、熟期と品質で収入を得ようとする場合には良い。それにしてもやはり多薬剤を要する。粗放栽培又は多収栽培用としては不適当である。この点の認識なしに、ただ市場出荷物の見事なことから、豊玉を作って失敗している例が多い。
 果実はかなり大きく、50~60匁(187.5~225ℊ)から70匁(262.5ℊ)、大きいものでは100匁(375ℊ)に及ぶ。比較的腰の高い豊円型であり、大きくなるとやや長楕円型になる。色は濃桃色、着色はよく、味は濃厚、ややかたいが肉質は良好で、輸送力にも富む。
 草勢はあまり良い方ではなく、多肥栽培を要し、葉はやや大きく下垂する。砂地、台地の多肥、多薬剤の、摘心早熟栽培用である。

ニューグローブ

 ニューグローブはグローブの選抜系と考えられる。グローブは相当古く(1905)ストーンとボンテローザの交配品種による品種で、多くの近代品種の基礎となっているが、それ自身も相当優秀な品種であり、本邦にも古く入り、多くの系統が作られ、それぞれ経済栽培されている。
 すなわちニューグローブを始め、アッゲラ・グローブ、群馬県の群玉、福岡県の糸島、その他昭和、理想、愛媛1号、大善など本系統とみられる。
 いずれも大同小異であるが、疫病その他にも中位の抵抗性を有し、台地のやや粗放な栽培によく適合する。しかし熟期もあまり早くないので、強度の早熟栽培や、多肥集約栽培をしてもあまり効果は上がらない。まず無難な標準品種と称してよい。
 中生種で果実は40(150ℊ)~50(187.5ℊ)匁の中大、球形であるが、大きいものはやや扁形になる。色は濃桃、肩部に浅緑色を残しつつ成熟する。果実の揃いもよく、外観も美しい。
 草勢は強く、節間が長い。葉は比較的小さいが強い。

渡辺成功(わたなべせいこう)

 昭和18年、宮城県渡辺採種場より発表された品種で、ボンテローザ×ベスト・オブ・オールの交配育成種である。戦時中の育成種で、ベスト・オブ・オールの強健性を取り入れるようにつとめたため、非常に発育がよく、上段までよく結果するのが特徴である。各種病害には強いが、尻腐病にはむしろ弱い。又湿地帯には不適であり、果に不揃いが多く、又果皮、果肉が軟らかいた輸送力に乏しい等の欠点がある。しかし台地の少肥、粗放栽培には向く品種で、関東、東北地方に次第に多くなりつつある。
 果実は桃色の中型、多少扁平な球型、熟期は中のやや晩に属する。
は、茎ともにあまり大きくはないが、伸長力は強く、多肥を要さない。又特に収穫期を長くし、秋まで収穫を続けるような場合に適する。

松島ピンク(まつしまぴんく)

 昭和21年、宮城県渡辺採種場の発表で、成功×世界一の後代である。
 大体成功に似るが、果実はさらに大きく、中の大。やや扁平である。果実は軟らかく輸送には向かない。発育は旺盛であるが、成功より草丈低く葉は小さい。花房は不整で着果数が多いため、多少不揃いになりやすい。熟期は中の晩、果実の病害には強くないが、茎葉の病害には強い。湿地の栽培には不向きで、台地で粗放栽培し、長く収穫を望む場合には適する。

デリシャス

 多くの系統があるが、優秀なものは相当栽培価値が高い。特に比較的土質の重いところに適する少数の品種の中の一つであり、青枯れ病にも強いといわれる。疫病に対しては中位の抵抗性を有する。
熟期は中であるが、普通品種が三節おきに花房を生ずるのに対し、一葉ごとに花房を生ずるので着果が早く、短期間に多収を得るので、水田地帯の早熟栽培に適する。
 しかし大体第三花房で芯止まりとなるので、腋芽を出し、主枝にかえなければ多収穫は出来ない。又各節に相当数結果するので、優品を得るには相当多肥栽培をしなければならず、多肥すると葉が極大型になり、しかも節間が短いため通風を阻害しやすく、元来丈夫な品種ではあるが、疫病を多発することが多い。
更に主枝の収穫と、側枝の収穫との間の期間が途絶えがちであり、又上段のものや側枝のものは日焼けを生じたり、内のすいた角ばった小果になりやすい欠点もある。
 果はやや腰の低い中~大果、50(187.5ℊ)~70(262.5ℊ)匁、桃色種としては最も美しい濃厚な色沢を有し、甘みの強い品種である。肉質は軟らかい。
葉は大形で、節間はつまり、茎は太い。普通品種が5~7尺に達するのに対し、3~4尺にすぎず、支柱も短くてすみ、風害も少ない。

極光(きょくこう)

 埼玉県農試大熊技師の育成品種で、アメリカンビューティー×ボンテローザの後代である。昭和23年命名された。この両親によるものとしては、特異な性状を呈する。すなわち、草姿、草勢はデリシャスなどに似て、極めて矮性、葉は大形、一、二節ごとに花房が着生する。特に沖積層の肥沃地や比較的温度の低い土地でないと、芯止まりとなるものが多い。しかし多肥栽培とすれば、この傾向は少なくなる。
 果は中乃至中~大、品質は中位、鮮桃色、着花数多く、又初期よりよく着果する。着果の多いこと、各節に花房を生ずることなどから、よほど多肥栽培をしないと特性は発揮され難い。又着果が多すぎる場合は摘果を要する。
熟期はあまり早くないが、このような品種の常として早急に収穫が増加し、切上りが早い。
 疫病、青枯れ、萎縮病に対しては、普通経済品種中最も強いものの一つであるとされている。比較的土質の重い地帯で、多肥、密植、大苗育苗の栽培を行う場合には、取り入れられるべき品種である。

栗原(くりはら)

 木更津市の栗原氏の選出品種で、原種はおそらくクーパーズ・アーリーといわれる。戦時中の淘汰のためか、極めて各種病害に強い(青枯れ病に関しては不明である)。やや晩性であるが、大果でよく揃い、極めて多収である。品質も悪くない。着果はそれほどおそくないが、催色期までが相当長くかかるようである。
 早熟栽培としては価値がないが、普通の多収栽培によく、海岸暖地の抑制としての試作の結果もよく、特に高冷地帯の抑制栽培の結果は極めて良好である。中の大果で、揃いのよいこと、発育のよいこと、疫病、尻腐病、バイラス病、斑点病には明らかに極めて強いことなどから考えて、将来この方面に大いに期待される品種である。
 果は50(187.5ℊ)~70(262.5ℊ)匁でよく揃い、腰が高く、やや角ばった感がする。やや薄い桃色、品質中位。葉は大きくないが、丈夫で、よく発育する。あまり多肥は要さない。

ボンテローザ

 来歴不明であるが極めて古い品種で、既に1870年ごろよりこの品種名が記されており、多くの近代品種の育成にも貢献している。わが国に輸入されたものも古く、当時英国系の小果、酸味と香味の強い品種に代わって非常に歓迎されたものであるが、あまりに晩熟であり、果が不整、着色も悪いため、一部の加工兼用地帯を除く他は栽培が極めて少なくなってきた。しかし古い品種だけに多くの系統があり、優良系統は中~晩期の出荷用として尚捨てがたい特徴を有する。
 草間が長く、苗が大きいため、育苗日数を長くすることは困難であり、第一花期もおそく、又成熟日数も長いので、早熟栽培には全く向かないが、発育は旺盛であり、大果豊産、青枯れには弱いが疫病には必ずしも弱い方ではなく、晩熟というもののそれほどでなく、8月下旬までの収量ではやはり最も多い。台地の粗放栽培にはよく適する。
 最も問題なのは果形で、ひだの少ない整形のものをとってくると小型となり、大型のものは晩生になり、又ひだが多く、着色も不良となる傾がある。優良系のものは、その中間の70(262.5ℊ)~100(375ℊ)匁くらいを標準とする。極めて多肉で種子は少ない。やや粉質で肉質は軟らかく輸送力はないが酸味がない。
発育の極めて良いことも特徴の一つで、7月下旬までに8段位までつく。多肥栽培をすると、却って茎葉のみ繁茂しすぎて一層結果が悪くなる。節間長く伸長のよいのに比しそれほど葉は大きくない。腋芽の発生も特に多く、又強い。

世界一(せかいいち)

 世界一と呼ばれる品種には、多くの系統があり、それぞれ起源を異にする別の品種であるようである。
世界一と呼ばれるものには、純系世界一、改良世界一、早生世界一がありこれらを用いた一代雑種は次のごとくである。

雌親 雄親 一代雑種名
改良世界一 純系世界一 一代交配世界一
早生世界一 極光 一代交配早生世界一
一代交配世界一 極光 三元交配世界一K号
早生世界一×改良世界一 ボンテローザ 三元交配世界一

 

 世界一の起源はあまり明瞭ではないが、古谷春吉氏の談を総合してみると、純系世界一は、昭和8年東京高農の谷口教授がボンテローザ中より選抜されたものといわれ、付近のビーフハートとの交雑種かとされている。
 改良世界一は、昭和13年、東京農試においてプリンス・オブ・ウエールズとウインゾールとの交配種として育成された東農P11号の後代とされ、早生世界一は東京都鳥山付近に以前から栽培されていたものとされるが、いずれもあまりはっきりしたものではない。
 これら及びこれらを用いた一代雑種は、共通の性質として、極めて丈夫で結実しやすいという点に特徴がある。すなわち乾燥する台地において、少肥栽培でも発育よく、又下段から多くの結果をみる。又疫病その他にはかなり強い。ただし低湿地や、多肥集約栽培では極めて能率が悪い。熟期は中位。大きさは中又は中の大、桃色。果形が不整になりやすく、又不揃いになる点、品質のよくない点、特に味が濃厚でない点、果皮果肉の軟らかい点などはこれらの大きな欠点である。しかし、とにかく丈夫で作り易く、豊産である点からすれば、粗放な台地の栽培においては、経営上有利な品質ということができよう。

福寿一号(ふくじゅいちごう)

 桃色中果の一代雑種で、タキイ種苗会社において育成販売される。最大の特徴は桃色トマトとしては多品種を凌ぐ早熟性、強健性、豊産性で、特に粘質土壌の多肥栽培においてこれらの特性を強く発現する。関西における露地早熟栽培では概ね6月10~15日に収穫が始まり、各種の病害にもよく耐え、7月末約5段花房までに反当2,500貫(9375㎏)を超える収穫を挙げる。なお、盛夏高温期に入っても、他品種に比し着果歩合と果の品質の低下が少なく、高温期を目指す抑制栽培にもかなり適応する。
 着果数が多く放任すれば一果房に10果内外を着生し、果の肥大と揃いを損なうから、青果販売にあっては花落直後に花房当り4~5果に摘果すべきである。摘果作業と共に果実肥大期の適切な追肥と潅水の効果は特に大きく、一果よく50(187.5ℊ)~60(225ℊ)匁に揃えられる。果形は襞のない甲高の扁円で着色は果頂部に始まり次第に全面に及ぶ。肉締り、食味、日持共に良好である。

福寿二号(ふくじゅにごう)

 桃色中果の一代雑種で、タキイ種苗会社において育成販売される。諸特性は福寿一号に近似するが、熟期はやや早く果はやや小さい。しかし片親品種は両者によりかなりその特性を異にするので、栽培地域によっては特に生態系性その他に差異をしめす場合が期待される。
 初め一号は昭和13年、二号は昭和15年、共に大阪農事試験場で育成され、専ら大阪府下の産地に栽培されたが、現在では両親系統が違っており、その分布も近畿一円を主体として更に広く関東以南一体に及ばんとし最近は温室乃至フレーム促成にも進出する傾向を示している。

清州一号(きよすいちごう) 

 愛知県園芸試験場において石黒嘉門氏により、昭和12年以降に行われた愛知×プリッチャードの交配育種により昭和18年に固定命名された。
果は桃色、中は大果でやや甲高く、玉揃いがよい。肉質、食味に優れ日持ちもよい。
 草勢は強く芯止まりは少ない。花数はやや少ないが結果率は高く中生に属し耐暑性は中位。現在同県下作付の15~20%を占める。

 


 現在栽培されているトマト主要品種の先祖です。作出された品種の親品種が記載されているものもあれば記載されていないものもあります。品種改良初期のころは不明なものもありますが、農事試験場などの公の研究所や研究者作出のものは親品種が必ず記載され血統をたどることができます。タキイ種苗の作出した福寿は現在でも入手可能な名品種です。しかし、途中から親品種が変更されたことと民間の会社で親品種は企業秘密とされたようで親品種の記載はありません。親品種から品種特性を推察することができないので非常に残念です。

 上記に挙げた品種は基本的には露地栽培をされてきた品種です。関東から西日本一円で栽培されてきました。いくつかの品種は現在でも種苗会社より入手可能です。私も、世界一と福寿2号を購入しました。

 種苗会社でも販売されていない品種は、農林省のジーンバンクにて有償ですが配布を受けることができます。私が以前スイカ品種の「三笠」の配布を受けた時、5700円(20ml)でした。安くはありませんが、入手できない昔の品種は多くありますので現在の品種との比較・研究に使用するためには便利な機関であります。(料金のほかに栽培報告書の提出が必要です)