日本畜産学会設立の立役者  鈴木幸三博士

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 増井清博士と共に日本畜産学会設立の中心人物になられたかたです。

 明治23年3月生まれ、広島県出身です。

 東大農芸科学部に所属し、遠州出身の世界的な碩学鈴木梅太郎博士の助手になられました。(どっちにしても静岡と縁のある方です・・・遠州と駿州です)


 資料が少ないのですが、鈴木幸三博士の恩師、鈴木梅太郎博士の御進講の要旨と、愛弟子になります、西川哲三郎博士の著書より紹介します。

 

鈴木幸三博士

 鈴木幸三博士は、昭和11年11月30日 台湾にて逝去されました。享年47歳。

 足指の傷がもとで敗血症を起こされ亡くなりました。

 剛毅・果断・俊敏・緻密等の形容詞は氏のためにできたような人柄であった。と西川博士は書いておられます。

 初期の日本畜産学会誌にはよく論文が掲載されております。惜しい方を早く無くされました。

 この記事は平成23年9月17日に作成しました。


 鈴木梅太郎博士の御進講の要旨より(昭和2年10月13日)

 

 紫外線を毎日15分づつ幼雛に照射する時は発育が良好で、非常に強健となり、母鶏に照射すれば、産卵率が高まり、卵に働かしむれば、孵化した雛が強健であります。千葉の畜産試験場においても、鈴木幸三、波多野正両氏が多数の実験を致しまして、その効果を確かめましたので近頃養鶏家が紫外線を使用するようになりました。


 鈴木博士の御進講の要旨を拝見しますと研究者の名前がよく出てきます。また、なぜその研究を行うのか、そしてどのような結論が出たのか、簡潔に書かれていて当時の農芸化学の状況がよくわかります。もちろん現在から見れば首をかしげる内容のものもあるようですが・・・十分通用する内容です。

 ただ、どこかで読んだような気がすると思いながらこの要旨を拝見していましたら気が付きました。同じく鈴木梅太郎先生の門下に当る川島四郎元陸軍主計中将が書かれた『まちがい栄養学』のシリーズです。よくにています。師弟ですから当然でしょうが。

 お二人の最大の相違点は、鈴木梅太郎博士が米の過食を戒め、栄養のバランスを考え獣肉、卵、乳や畜産加工品を食生活に取り入れようと運動なされましたが、川島博士は、米食の価値を見直し、肉食、畜産加工品の過食の害を警告しました。もちろん時代の差はありますが共にすばらしい研究者であります。


 話が横道にそれましたが、増井博士を調べていて鈴木梅太郎博士の御名前を見つけるのですよ。不思議ではありませんか、これぞ人の縁ですか。(故人ですが)


 鈴木幸三博士は非常に有能な方で、大正9年千葉の畜産試験場奉職と同時にドイツに3年間留学されました。帰朝して増井博士と共に日本畜産学会の設立運動を始めるわけです。


 いろいろなエピソードが西川博士の文にのっております。どうもお酒の上での失敗が多いようです。

 ・・・ひょっとすると、千葉試験場で鈴木博士と話をするたびに、増井博士が御実家の満寿一を1升ぶら下げていったのかと・・・・つい想像してしまいます。そのくらいお酒が好きな方です。

 増井博士は決して土、日以外は晩酌されなかったそうです。理由は仕事にさしつかえるからです。

 
 鈴木幸三博士は実に直情なかたであります。日本畜産学会設立後の昭和7年、千葉畜産試験場を行政整理を理由に当時の場長木村和誠氏より馘首されます。

 この時は多くの方が鈴木氏の身を心配し奔走されました。恩師鈴木梅太郎博士も農林省に掛け合ったり、九大教授に奔走されたりと、愛弟子の為に一生懸命運動されました。・・・最終的に飼料とは縁のない、台湾糖業試験所に決定しました。そして、この台湾の地で亡くなりました。

 なお、この時の場長木村和誠氏は後に日本畜産学会の名誉会員になります。・・・この方日本畜産学会の設立に反対されていた方でありますが、それにもましてその畜産学会設立の大功労者を追い落としておいて自分が畜産学会の名誉会員を受ける事の出来る心が私には全く理解できません。

 学者の世界も清と俗、二つの世界があるようです。(育ちですか?)

 

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このページは、yamahiko-farmが2012年3月15日 22:40に書いたブログ記事です。

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